ら私の前から望んで居た事でもこだわりのある気持で行くんだから、
嬉しさの半分はいやな相談から抜けられると云う事なんだもの。
[#ここで字下げ終わり]
いかにも思いあまった事が有る様に云うとすぐ千世子は聞いて仕舞たかった。
[#ここから1字下げ]
「何なんです?
何を考えてもらい事[#「い事」に「(ママ)」の注記]があるの。
「帰って来てから好いんですの。
そうさし迫った事でもないしするんだから。
[#ここで字下げ終わり]
煮え切らない口調で話した。
[#ここから1字下げ]
「でもね、
私はほんとうに真面目に考えなければならない事なの、
その事を考えると先ぐ感情が先に立つ、それを鎮めて冷静にして居なければいけないんだから――
やっぱり私一人では困る――
[#ここで字下げ終わり]
不断あんまり物にこだわらない京子が今度ばっかりこんなにして居るのを思って大よそこんな事だろう位に京子の身に湧き上った事件を想像した千世子は今その事について考えなければならないほどにまで話《はなし》に深入するのをいやがった。
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「そんならそれは貴方が帰ってからにして。
[#こ
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