なくつづいて、会う女の大抵は見っともなくお白粉をぬった女か魚臭《さかなっくさ》い女で――。
「おむつ」がハタハタひらめくと魚の臭いがプーンと来る、もうほんとうにたまらない。
やっぱりあすこの方が好いからもう二日たったら帰ります。
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そのほかに話相手のないつまらなさに、千世子に会いたい気持なんかを字につり合った口調で書いてあった、色の黒い背《せー》の高くて髪の綺麗ではっきりした口の利《き》けない友達の様子をなんか思い出したりした。
それでも来る日が心待ちに待たれた。
これぞと云った特長もないのに何故《なぜ》こんなにもう七年ほどもつき合って居るんだろうなどと云う事が妙に思われた。
一年も半年も会わないで手紙さえやりとりしなかった時はたびたびでもその次会った時には昨日《きのう》会った人達の様に何にもこだわりもなく打ちとける事が出来たのも、お京さんが思いっきりの音無しい人で自分が我儘な気ままな女だからどうか斯うか保《も》って居たんだ。
そうも思った。そしてお茶時にわざわざ、
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ねえお母様、お京さんはやっぱり大森がいやだって、もう二日し
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