た親達はもうやたらに私をたよりにして居るのを見れば見るほど離れた気持になって来るんです。
どんなにつとめて思いなおしても。
「両親からはなれた気持になる?
小さい時に私も一時そんな事があったんですよ。
どうしていやなのか?
って聞かれればわけははっきり云えませんけどねえ、明けても暮れてもいやに陰気くさい子で居ましたっけ。
でも私はほんとうになおるもんだと思いますよ、
今なんか私はそりゃあ打ちまけて母親にすべてを云える気持で居ますもの。
両親にはなれた心を持って居るものの不幸な事なんかもこの頃は思ってます。
「どうなったってなおりゃあようござんすねえ。
でも私はなおりそうにもありませんよほんとうに、国に帰るのがだからいやなんです。
下の弟達が両親になついて居るのを見ると羨しさと憎しみが一度きに湧いて来るんです。
なつかない私を見れば両親だって頼りない様な眼附をしますしねえ、
女の母親なんかは私に気づかいさえして居るらしいんですもの。
「貴方が苦しいより以上にお母さんなんて辛い悲しい思いをしていらっしゃるに違いありませんよ。
この頃になって私はつくづく思うんです、
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