か、
 何が何だか一寸もわけがわかりゃあしない。
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 二人は大きな声で笑った。
 そして京子は千世子のくぼんだまぶたを見ながら、
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 少し目が有るらしくなりましたねえ。
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なんかと云った。
 夕飯がすむとすぐ肇が来た。
 千世子は自分の居る部屋へ通した。
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「いかがでいらっしゃるんです?
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 顔を見るとすぐ肇はきいた。
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「有難う、今日はこの通りなんです。
 度々来て下すったんですか?
「いいえ、そんなに度々でもありませんけど、
 二三度上りました。
 篤さんと一緒に――
「女中がおことわりしたんでしょう?
 そんな事私が云い出したんじゃあないんですけどね、ここに居る人が云いつけたんですよ。
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 千世子は京子を見返りながら笑った。
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「貴方にさわると思ってですよ。
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 京子は不平らしく云いながらも一緒に笑った。
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「でもねお陰でもうすっかりいい様になったんです
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