どんな歴史的使命をそこで果したかを短く演説する。
 ――男も女も行けるんだろう、そのクラブへは。
 ――そうとも! 家じゅう行くんだ。婆さんも孫も、赤坊だって行くよ。
 ――本当か?
 ――プロレタリアートのソヴェトは、女を封建的に台所の中やオシメのまわりをうろつかせては置かないんだ。女が働く工場には托児所がある。女が男と一緒に芝居を見、演説をきき、時には自分だって演説するクラブの中には大抵「母と子の室」がある。そこに清潔な寝台がある。壁に「赤坊は自分の乳で養え! 牛は人間の子の為に乳を出すのではない」とか「赤坊に規律正しく乳をやれ」とか、プラカートがかかってる。そこへ赤坊を寝かせておけば、責任をもって見てくれる者がいるから女は安心して演説をきいていられるんだ。
 ――そうでなければならないように出来てる。それから、
 ――時には、一九〇五年の革命を目撃した労働者の思い出話もされる。一月九日を記念した詩が本ものの朗読者によって音楽に伴れて朗読される。クラブ劇研究員の芝居、ピオニェールの分列式。ピオニェールの活人画みたいな劇、移動劇団がやって来て大道具をつくって芝居する。キノがある――記
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