正義の花の環
――一九四八年のメーデー――
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)整理[#「整理」に傍点]の理由として
−−
三度めのメーデーが来る。ことしのメーデーはどんなメーデーになるだろう。お天気のよい日であることをのぞみたのしいメーデーの歌と行進とを期待する。去年は職場職場でなかなか趣向のこったプラカードや飾りものをもち出した。ブラス・バンドが先に立って行進した組合もあった。ことしのメーデーに自立合唱団や劇団はどんな自分たちの催しものを、全勤労者のメーデーの賑わいに交える計画だろう。日本でもメーデーには勤労階級が自分たちのなかから芽ばえはじめた歌や踊りを行進のよろこびに加える段階に進んで来た。
今年もわたしたちは、去年うたった親しみのある明るい新メーデー歌をうたって何十万人の行進を行うのだが、三度めぐって来るメーデーについて、誰しもその胸の下にはいろいろな感想がある。
一九四六年の第一回メーデーの、あの勤労階級の意義を示威するよろこびにさえみんながまだ馴れていなかったような内気なところのある
次へ
全7ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング