烈な反対を受けることは十分承知し」ながら、「アメリカが日本に対し寛大な政策で臨もうとしている」のである。(三・一七、読売)
集中排除法がきまったとき、日本の資本家によってそれは勤労階級に対しては、整理[#「整理」に傍点]の理由としてつかわれた。集中排除が緩和され「第一義的軍事施設以外は日本から極く僅かな施設しか賠償として撤去しないよう」にと、ストライク委員会の報告が示しているという記事をよむと(三・一七、読売)日本の勤労階級すべての人々は男も女も、日本の軍国主義の残滓はどこまで払拭され得るだろうかと、空おそろしい気がしないではいられない。今日、日本人民の生活をここまでボロボロにした戦争も、日本の半封建的な天皇制が近代のファシズムと等しいものになったからであるし、軍人たちがファシズムを押しとおすことが出来たのは、金を出すものがあったからにほかならない。人民を犠牲とする戦争に金を出すことで一層儲かった者が日本人の中にいて、その利益に立ってことが運ばれたからにほかならない。新興財閥はすべて軍需企業家であった。集中排除法は、そういう企業とその経済力に向けられたものであった。それが緩和されると
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