その問題を扱うだけ野暮にはなかなかなれないものと思う。中河さんの小論についてそう感じたのみならず、逆に、女の人が警句が巧くなったので一方そう思うのでもある。
例えば正月号の『ウーマンカレント』のカレントなども、新聞の寸評的効果を与えようとした点広く社会問題をとりあげている点面白いが、私には、問題の表面を滑りすぎた評言が与えられているところ物足りなかった。学生の思想取締問題など、男性の社会の出来事のようだが、本当は現在の社会と未来の文明を通観した上で、息子を人間的に育てて行こうとする母親にとって実に大問題であろうと思う。皮肉以上の解答を、真実人生を愛し子を愛する母は求めている。私もここに野暮にして重厚な真心をもって、×××氏がカレントに、小粒ながら真実深き評言を正面《まとも》に人生に向って投げられるように希望する。
[#地付き]〔一九二七年二月〕
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
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