本人にもフィジアスの彫刻の均斉の美はわかるのだと思う。文化の相互的な理解というものは、そのような古典鑑賞にとどまらず、古典に輝いた精神が、今日の文化面でどのように変化し再出現し、或は破壊を通してより新しいものとして創り出されようとしているか。そのために世代の営んでいる偽りない辛苦の混乱をも、やはり懇《ねんごろ》に評価され、ひろい歴史の前に観察されなければなるまい。我々の世代が、文化を十分に享受しようと欲している熱意と、明日の文化をより豊にしようと希ってつとめている努力とは周密に観察され支持されねばならぬと信じる。(なおこの仕事のために日本歴史全書中の著書その他について助力を与えられた友人に謝意を表したいと思う。)[#地付き]〔一九四〇年十二月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
1952(昭和27)年8月発行
初出:「新女苑」
1940(昭和15)年12月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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