の巨大な懐の中から、夥しい民衆の文学創造力が、かもし出されて、今日のソヴェト文学をゆたかならしめているように。
 私たちは、中国文学研究会が、「春桃」を第一輯とした次の第二輯を、出版されることを切望する。蕭軍、蕭紅たちは、きょう、どういう作品を生んでいるだろうか。延安の洞窟のなかで生れる文学はどういうものであろうか。それを知りたいと思っているのである。

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附記 「春桃」一巻の本文、特に主人公たちの名前を、編者は親切に中国の発音に準じてフリガナをつけていてくれる。しかし、作者たちの名に、それがついていない。日本の読者の悲しみは、愛する落華生を、忘れられない葉紹鈞を、どう発音したら、中国及び外国の人々に、その人と知らせることが出来るのか分らない歎きである。これから私たちの読む中国文学は作者の名もはっきりと、世界に通じる発音において学ばなければならないと思う。[#地付き]〔一九四六年二、四月〕
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底本:「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年11月20日初版発行
   1986(昭和61)
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