、正月の太陽の為に南路を書き、日曜や今日のようにAが家に居、机を並べてやって居る時には、此を書いたり、小品を書いたりして居る。
仕事を、飽くまでコンスタントにやること。然し、無理をせず、真の緊張と感興の持続する限度と、雰囲気とで仕事すること、此を今、効果ある状態と信じて行って居る。
新潮から、来春、単行本が出るだろう。経済的に、自分の得るものは現在の処極僅少である。従って、貯蓄はない。
二人の分を合わせて三百円もあるだろうか。
朝、大抵八時半から九時半までに起る。朝飯後、一時頃まで書きつづけて食事にする。
それから髪を結い、日当ぼっこをし乍ら、読んだり、小さいものを書く。三四時頃Aが帰宅し、夕飯六時。一時間も、肴町、白山の方を散歩し、少し勉強し、風呂に入り眠る。
プルタークの英雄伝を読み、シーザー、アントニオ、カトウ時代のギリシア、ローマ人の生活を、非常に興味深く覚える。
プルタークは、冷静に彼等を伝記者として扱う心持で居ただろう。然し、今日の我々から見ると、彼自身も亦、彼の書いた英雄共と種々な角度に於て交渉を持った一公民としての、心情を吐露して居る。
家を引越し、も
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