くて堪らなそうにたみ[#「たみ」に傍点]の手からとり、頬ずりをする。顔を離し)ばあ!(と笑う)
さあ、いいお顔をして頂戴、いいお顔はどんなお顔? ほら、いないいないばあ! ね、父ちゃま、はいはいはい!
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つや子を膝の上に立たせ、笑わせようとする。たみ傍に膝をついて、手を打ちながら笑って見せている。子供は、笑いたそうにしては、また顰《しか》め顔になって泣き出す。
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やす子 まあ、どうしたのだろう(子守に向って)余程前からこんななの?
た み いいえ、それほどでもございません。何だか不意にお泣き出しになって……
やす子 どうしたんでしょうね本当に。
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いろいろやって見る。つや子の機嫌はなおらない。
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一寸、貴方!(良三の背中を呼ぶ)済みませんけれども一寸見てやって下さらないこと?
良 三 (やや面倒くさそうに)おむつだよ。
やす子 そんなことあるもんですか。……取りかえてやってくれたろう?
た み 今一寸前すっかりおなおし致しました。
やす子 それだものね、おむつじゃあないわね。父ちゃま、何でも、お
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