のだ。ひとの儲ける金を浪費する女の感情のだらしなさが映っている。
素人の女が玄人っぽいまねをするという近頃の一部の傾向も、その機会にあたっているのである。
婦人と読書
相変らず本がよく売れている。女のひとも本をよけい読むようになったのは嬉しい。
けれども、本をよむ婦人の何割が未婚のひとで、その何割が家庭をもっている婦人たちだろうか。妻たちよ。母たちよ。肉体のいよいよ永い若々しさへの努力とともに、精神の若い弾力を保つ心がけこそ、新しい日本の女性の美の必要であると思う。
教壇の未亡人
勇士の未亡人で、新しい生活の道を教壇に見出したひとたちが、いよいよ一ヵ年の師範教育を終えて、九段の対面もすました。
百数十名のこれらの健康な夫人たち若い母たちが、子供と共に経験したこの一年には一言で尽しきれない決心と希望と努力とがこめられている。
決意のかたいこの人々が益々体も健やかに精神のひろやかなゆとりをも持って活動される事を切望する。
只でさえ女の先生を見る周囲の目は、そこに女の鑑を見ようとする傾きがつよいが、勇士の妻という事を、女先生の責任感に加重
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