。それが知りたい。
人間の成長と環境との関係を真剣に考える人々は、お祝の儀式がすんだ後の永い歳月を子供たちがいかに閲《けみ》して行くかという人生の事実にこまやかな視線を向けずにはいられまい。
目に余る贅沢
金銀の使用がとめられている時代なのにデパートの特別売場の飾窓には、金糸や銀糸をぎっしり織込んだ反物が出ていて、その最新流行品は高価だが、或る種の女のひとはその金めだろうけれどいかつい新品を身につけて不思議もなさそうな面ざしであった。この初夏に一反百円のお召単衣はおどろくに足りないもののように現れていたし、レース羽織というものも出来た。
それらはいずれも、金はあるところにはあるもんなんですよ、と声に出してささやいているようであった。
婦人挺身隊
贅沢品の製造がとめられることになり、贅沢を警告する任務が精勤の婦人挺身隊にゆだねられることになった。
この日本で、女の贅沢をひかえさせるために女の挺身隊がいるなどとは、何と情ないことだろう。今の時代に目にあまる贅沢などというものは、つまり女が社会を見ている眼の狭さ、小ささ、愚かしさを語るだけのも
前へ
次へ
全8ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング