。例えば雑誌の編輯でも校正の最後の日は徹夜さえするでしょう。男の人と全く同じような働き方だと思います。それが、女であるだけ疲れかたが違ったところにあり、働いている間|身装《みな》りにしろ男の人の方が働き易い自由さを持っていると思う。和服の帯付きで働いている女の人だってまだ数は多いでしょう。そして疲れて帰ってその上台所をぴかぴかに出来ぬし、夜の九時からお料理でもなく、矢張り男の人の様なお腹の充たし方をして寝なければならない。女の人の場合には、そのことが男と違う感じで自分に感じられましょう。何か、自分が粗くなって行くような、湿いを失って行くような、そう云う怖さを自分で感じるでしょう。その自覚がまた逆に女の人に作用して生活に自信を失わせ、自信を失ったことから、貧弱になり乾いて来るような、そう云う関係ではないでしょうか。
そして矢張り女は家庭にいるべきだと云うような結論に戻るのではないでしょうか。それも親がかりの場合に一番すらりと感じられる結論で、それなら職業を女のひとが主婦として家庭の仕事と自分の職業と夫婦生活の幸福という点から考えた場合、そう簡単に今迄あったとおりの形で家庭がいいと肯定も
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