し、女の人がほんとに自分が好きでしているおしゃれの中に、自分から心持よさそうに動いているのを見るのは、随分好きです。お化粧や着物の撰び方などで急速に巧者になて来ています。この間うちパーマネントのことが大変やかましく云われていましたが、おしゃれもほんとうは、ぐっと進めば女の人の方からああ云う問題は自然解決してゆくものだし、当然そこを目指されていいものでしょう。似合う似合わぬから云っても、場所とか職業とか時代の生活の気分とか、そう云うものが敏感に女の感情の中で捉えられれば、まるで似合わないそしてそぐわないでこでこの装飾的な頭を誰れでも何処へでも持ち廻るという趣味はおかしなことに理解されて来るでしょう、着物とか髪形とか云うものは随分その人の人柄を細く照返しているから、女の人が自身からそれを自覚し自分の表現としておしゃれを掌握するようになることが大切だし、その中に女の独創性というものも、育つでしょう。今の若い女の人は自分の心持ちの張りというものと誇張というものの境をよく掴んでいないように思います。だから服飾として誇張されているものが、そのままほんとうの生々した女の心の張りから生じる線や色の取合
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