たちを一日数時間ずつ動員するという新しい方法がとられた。
男の労働者に比べて婦人労働者の賃金はどのくらいの割合いになっているものだろう。内閣統計局の統計によると、昭和十五年五月の平均に、金属工業で男三一二円手当賞与一五六円であるけれど、女は一二三円七〇銭手当賞与四一円一〇銭という違いで、実収入額では男の半分、手当賞与では三分の一ということになっている。このように女の働く者の手当賞与が少額であるということにも、二三年来急に増した若い働く女性たちが技術上未熟練なものの多いことを語っている。しかも実収入で半額まで女がこぎつけていることに、日々の努力が決してそれらの女性たちにとってかるいものではないこともまざまざ語られているのである。
若い婦人を働かせるために何の特別な設備もない重工業の部面に、どんどん未来の母たちが吸収されて行っている重大な意味については、世人もまったく無関心ではないと思う。政府も、婦人にふさわしい仕事と衛生設備について一言ふれているのではあるけれども、それぞれの工場や勤め先での実際ははたしてどこまでそれが反映されているであろう。
日本の働く婦人はあらゆる職能を通じて、
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