若い娘たちの行進の美しさと心をたかめる力は、そこに肉体の若さが溢れているというばかりでなく、希望をもって、秩序をもって日々に生かされている新しい生活の輝きがてりはえるからこそであると思う。背景をなして、若い人々の生活の満ち漲った熱意と着実な営みとが感じとられたとき、その行進は、感動的なものとなるのである。
若い娘たち、妻たち、そして若い母たちはこれからますます群れを組み、街上を行進する機会を多くもつのだろうが、そういう行進が自分たち女の生活とどんな密接な意義をもっているかということについて考えてみるだけの自主の力は大切であると思う。真に自分たちらしい行進をおこなってゆこうとする落付いた日常の心のうねりが尊ばれなければなるまいと思う。[#地付き]〔一九四一年一月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
1952(昭和27)年8月発行
初出:「オール女性」
1941(昭和16)年1月号
入力:柴田卓治
校正:米田
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