まってしまうような大椅子、長椅子があり、気持のよい出窓の下の作りつけ腰掛。ヴェランダ。片隅の便利な茶卓子《ティーテーブル》。床の上には色の凝ったカーペット二つ三つ。
 入った時、改って体が真直になるような感じでなく吻っと安らかになり、先ずぽっくりと腰を下ろして、呑気に雑談でも出来るようにありたく思います。

 食堂[#「食堂」に傍点]との境は、左右に開く木扉で区切っても、単に大きい帳を用《つか》ってもよいでしょう。
 此処にこそ、朝から、朗らかな日が流れ入って欲しく思います。円い五六人坐れる卓子、高くなく下った家庭的なダイニングルーム・ランプ。綺麗な花。軽快な小枝模様でもさっぱりと出した壁の前には、単純で、細工は確かなカップボールド、サービング・チェスト。
 台所[#「台所」に傍点]との間には、どんなに小さくても配膳室[#「配膳室」に傍点]があった方がよろしいでしょう。給仕をするのに、一々、大きな扉の開閉をせず、配膳室との境に、適当な大きさのハッチをつけ、台所で料理出来たものは、彼方側から其処の棚にのせ、給仕人が、此方から、部屋を出ず食卓に運ぶ。
 とかく五月蠅い人の出入りは、食事中な
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