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メーデーの翌日、モスクワじゅうの劇場は全職業組合の無料観劇日だ。しかし「大体云ってソヴェトはまだ理想的なプロレタリアートの劇場を持っていると誇ることはできぬ」。労働者と芸術の記者は書いている。「劇場の建物が古く、少人数しか収容せず、従って経営費の負担=切符が一人あて高くなる。勘定して見よう、では五人家内の勤労者の家庭が一晩の観劇にいくらいるか。職業組合ソヴェト劇場へゆくとしよう。
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九十二・五カペイキ 切符代
二十カペイキ 電車賃往復
十カペイキ プログラム
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芝居は七時半から始って十一時すぎ終る。モスクワ人は正餐《アベード》を午後の五時すぎ、つとめ先から帰ってたべる。寝るまで、せめて茶とソーセージののっかったパン位は食べたい。故に、
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五十カペイキ 飲食費
計 一ルーブル七十二・五カペイキ
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五人だと八ルーブリ六十二・五カペイキ。エム・オー・エス・ペー・エス劇場がどんなによい上演目録をもってたとしてもそうちょいちょいは行けないではないか。ソ
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