三つの愛のしるし
――自由・平等・独立の火をともす――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九五〇年一月〕
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 二三日前にふった雪がまだとけずにまっしろく日にかがやいている。日本のあっちこっちの国々に、町々にやっぱりこんなふうに日にきらめいている冬の雪があるのだと思う。そしてそこにさまざまの形でいとなまれている昨日今日の生活とたたかいとを考える。
 毎年一月の十五日は三ツのLの日として記念されてきたけれども、今年はこの三ツのLという字が私の心に特別な深さとひびきとをともなってうかんでくる。ただレーニンとローザ・ルクセンブルグとカール・リープクネヒトとの頭字のLを三ツあわせた記念日としてだけ思えないところがある。
 二十世紀の人類生活の前進のため、このLという字を頭字にもった三人の人たちの生涯は、革命暦の上にあらまし印刷されている業績より、もっともっとふかい階級的な人間としての意味を語っている。
 モスクワのレーニン廟に革命後三十三年たった今日でも人の列がたえないということは何を語って
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