主勢力がますにつれて、あらゆる国々の人民が、この感動をわけもってきている。
 ベルリンの鋪道の上で憲兵大尉にうちころされ死体をすてられたカールとローザの墓は、ドイツの独立と自由とを愛す人々の手によってきずかれた。その墓はひとたびはヒトラーによって破壊された。けれども彼らの墓が形の上でどうなろうとも、ドイツの人民が三度めの戦争に挑発され、世界人民の生活破壊者とさせられることに抵抗して、人民的祖国ドイツの独立をねがっている人々の愛情のなかに、カールとローザの二つのLは、決してきえることなく生きている。
 これらの人々の生涯のいろいろな時期について多くの逸話がある。そのどれもヒトラーと正反対の性格にたっている。すなわちLという頭字をもった三人の人たちは個人的な権勢の欲望に害されることのなかった無私な人たちだった。革命的指導者の最大の徳義は、世界とその国の客観的情勢を自分がそれを好都合と感じるか、感じないかということにかかわらず、革命の課題にそって正確に把握することであるということを理解していた人たちであった。人民とその指導者との間にまごころからの信頼がありうるなら、それはくもりない客観的な行
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