三つの愛のしるし
――自由・平等・独立の火をともす――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九五〇年一月〕
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 二三日前にふった雪がまだとけずにまっしろく日にかがやいている。日本のあっちこっちの国々に、町々にやっぱりこんなふうに日にきらめいている冬の雪があるのだと思う。そしてそこにさまざまの形でいとなまれている昨日今日の生活とたたかいとを考える。
 毎年一月の十五日は三ツのLの日として記念されてきたけれども、今年はこの三ツのLという字が私の心に特別な深さとひびきとをともなってうかんでくる。ただレーニンとローザ・ルクセンブルグとカール・リープクネヒトとの頭字のLを三ツあわせた記念日としてだけ思えないところがある。
 二十世紀の人類生活の前進のため、このLという字を頭字にもった三人の人たちの生涯は、革命暦の上にあらまし印刷されている業績より、もっともっとふかい階級的な人間としての意味を語っている。
 モスクワのレーニン廟に革命後三十三年たった今日でも人の列がたえないということは何を語っているだろう。そして世界の人民のますます多数が、そのようにレーニンを愛しつづけているソヴェト人民の感情に一年一年とよりふかい共感を抱きはじめてきているのは何故だろう。これはレーニン廟が単なる記念のための廟ではないということをしめしている。ソヴェト人民は新らしい価値にめざめた自分たちの人生を思うにつれ、そのような人生をあらしめた指導者はレーニンであるということを思い出さずにはいられないのだと思う。いくたびもの五ヵ年計画を成就し、ファシズムとの闘いに勝利し、あのように全ソヴェト人が熱中して建設したドニエプル・ストロイさえも、敵の手から守るためには、そこを造った労働者自身の手で爆破したが、今日はそれを再びその人々の手によって建設しおおせた、その偉大な人民のエネルギーを覚醒させ、組織し、新らしい人類の歴史をつくってゆくための行動にゆるぎない方向をあたえたものはレーニンであった。その線を発展させた党に力をあわせて度かさなる艱難を正しく克服してくるにつれて、ますますソヴェト人民の心にはレーニンにたいする深いほこりと愛とがよびさまされているだろう。そして世界人民の間に民族の独立・自由・平和をもとめる民
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