主勢力がますにつれて、あらゆる国々の人民が、この感動をわけもってきている。
 ベルリンの鋪道の上で憲兵大尉にうちころされ死体をすてられたカールとローザの墓は、ドイツの独立と自由とを愛す人々の手によってきずかれた。その墓はひとたびはヒトラーによって破壊された。けれども彼らの墓が形の上でどうなろうとも、ドイツの人民が三度めの戦争に挑発され、世界人民の生活破壊者とさせられることに抵抗して、人民的祖国ドイツの独立をねがっている人々の愛情のなかに、カールとローザの二つのLは、決してきえることなく生きている。
 これらの人々の生涯のいろいろな時期について多くの逸話がある。そのどれもヒトラーと正反対の性格にたっている。すなわちLという頭字をもった三人の人たちは個人的な権勢の欲望に害されることのなかった無私な人たちだった。革命的指導者の最大の徳義は、世界とその国の客観的情勢を自分がそれを好都合と感じるか、感じないかということにかかわらず、革命の課題にそって正確に把握することであるということを理解していた人たちであった。人民とその指導者との間にまごころからの信頼がありうるなら、それはくもりない客観的な行動の真理にたっていつもまじめ率直な自己検討をおこたらない態度をとおして互にかたくむすばれるときであることを身をもって示した人たちであった。
 私たちのバッジに三ツのDがある。自由と、独立と、平和とのためのデモクラシー、私たちが日本の独立と自由と平和のために求め闘っている人民的な民主主義のバッジである。三ツのLを考えていると、そこに愛という言葉がうかんでくる。人民の祖国独立への愛、人民解放のための愛、世界平和への愛など。
 社会変革の人間的な動機はよりよい人間生活建設への不屈な愛である。パンをあたえよという叫び、失業をなくせよという叫び、これは人生をあたえよという叫びである。社会主義的生産にすすんでゆこうとする労働者階級の歴史的行動はそのような社会でこそ全人民生活がより人間らしいものになるから民主革命における労働者階級の先進性による社会各層の統一戦線もうまれる。
 私たちの民主革命に関するいろいろの感情はその基本において政治的に高められなければならない。そしてわたしたちが政治的に高まるという場合には、そこにあたらしい社会価値の創造を意味しているのだから、革命の情熱はますます真実にたいして
前へ 次へ
全3ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング