若い娘の倫理
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)確《しっか》り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)はしご[#「はしご」に傍点]をするということが、
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このごろの若い娘さんたちはどんな心持で、何を求めて暮しているだろう。そう自分の心にきいてみると、この答えはなかなか簡単なようで簡単でない。この頃の娘さんたちというひっくるめての表現は、いきなり極めて動的な感じでうって来て、娘さんたち自身にしろ内と外とから二六時ちゅう動いていて、しかもそこに何かの帰趨を見出して行こうとしている自分たちの心持、生きかたを、手際よくまとめて答えることは相当むずかしいのではなかろうか。今の娘たちの青春は、青春時代そのものが一つところに立ちどまっていられない愉しく苦しいものであるという以外に、歴史の大きい転換の時期の影響が様々な方角から射して来ていて、彼女たちの気持を複雑にしている。これは今日世界のあらゆる国々の娘たちが遭遇しているめぐり合わせであると思う。そして、そういう複雑な歴史的な時代の影響というようなものも、特に若い娘さんたちにと
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