はなくなって来ている。いわば自然にそこに身を置いてゆくようなこととなっている。それでいて、一旦そこに身をおいてみると、初めて女として様々のむずかしい問題に直面しなければならなくなって来て、その解決によりどころとなるものが非常に失われているというのが、今日の若い女の社会条件の困難さだと思う。
 どんな娘さんも自分としての生活というものを考え、職業や仕事について考えているが、どんな娘さんも亦そういうことを考える自分に十分の自信と確信とを持てずにいるというのが、今日の現実ではないだろうか。しかも多くのひとは実際の必要からも働いて行かなければならない。
 自信のなさということは、娘さんのきょうの不安な戦《そよ》ぎだと思う。その不安な戦ぎとして、自信のない自分を感じながら、どうかして自信をもちたいと、あちらこちらへそれとない目を走らせていると思う。これでいいというものが掴まれていない。この不安は、社会の動き、世界の動きが目まぐるしいにつれ、世相の推移が激しいにつれ、一層とどまるところのない感じで、若い娘の感情に迫って来ているのだと思う。
 日本の若い娘も、生きてゆく感情の上で一つの大きい成長を遂
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