したというばかりではない理解と圧力と人間らしい誇りをもって、文学化してゆくためには、現象から現象へと目へ筆がついてゆく範囲の具体性では足りないことを、親切な指導者と読者たちとは知っているであろうと思う。
大迫さんにしろその周囲の中では有能な一人の娘さんであることは確だし、野沢富美子という人の文筆上の才も将来に期待したい力を暗示している。
この二様の筆者たちが、時代的な一つの傾向である環境への我とも知らぬ安易な封鎖から真に成長しぬけて来た時こそ、彼女たちの文才は新しい世代のよろこびとなり得るのだと思う。
[#地付き]〔一九四〇年七月〕
底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
1980(昭和55)年4月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
親本:「宮本百合子全集 第八巻」河出書房
1952(昭和27)年10月発行
初出:「新女苑」
1940(昭和15)年7月号
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
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