社会生活の純潔性
宮本百合子
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(例)[#地付き]〔一九四七年五月〕
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私達が生きてゆく間には、千変万化の波瀾をくぐる。その波瀾の間に、人間として、強く、純潔に生きてゆくことは非常にむずかしい。現代に純潔は非常に少い。
純潔とはどういうことを意味するのだろう。人間が社会に生きてゆく態度として、純潔性は、その人々が社会に持っている歴史の意味を明瞭に自覚して、歴史が一人一人その人達に求めている道を、積極的に勇気をもって進んでゆく。そういう自然で正直な態度の中に、社会生活の純潔性はあると思う。働く人には勤労階級として歴史から求められている最も名誉のある発展的使命がある。支配階級には、現在の歴史の中で矛盾の多い非生産的な階級でありながら、支配階級としての権力を保っていかれるという、その矛盾をはっきりと見てその矛盾がそれらの人々にもたらす生活変化、階級の没落に対して、正直に勇気ある人間らしい発展性で自分の身を処してゆくこと、それが生活の一つの純潔さの意味である。
石橋湛山氏が大蔵大臣とし
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