社会と人間の成長
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

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(例)[#地付き]〔一九四七年六月〕
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 私は一九二七年から三〇年までソ連におりました。いまから考えれば大変古いことで、ちょうど第一次五ヵ年計画が始まったばかりのところです。ですから、皆様の方が新しい今日のソヴェトについては十分御存じのことでしょう。何を見ました、かにを見ました、というお話は申し上げません。私が深く動かされたこと、そして自分の一生に強く影響をうけたことは、どういうことであったか、ということを簡単にお話申し上げたいと思います。
 私たち人間というものは、いつも歴史の中に生きております。社会の中に生きております。宙に浮いた存在ではありません。社会はどんな条件でわれわれに影響して来るものでしょうか。わたしたちは、自分たちの運命をよりよくして行きたいとどこでも何時でも努力しております。自分の運命の主人となる可能性というものは、社会の現実のどんな処にあるか、自分の生きている社会の中で、どういう風に自分たちで作って行けるものか、そういう点について、
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