れるものとなり、銘々が社会人として独立した社会的な保護をうけ、そういう人たちが愛情によって集ったグループが家庭ならば、今までのわれわれの家庭においてのお互の負担、感情的な辛いいきさつ、財産争いのゴタゴタ、そういうものはよほど変化するのです。人間の銘々が幸福に生きようとする本能はある程度社会的に充たされて行きます。生活と対人関係はより人間らしくなってゆく可能がふえます。慾張りでなくっても食べて行けるし、薄情にならなくたって、老後の安心は守られます。そういう条件を、自分たちの生活の中にどういう風に発見して、実現してゆくかということについて熱心に研究し、実行する。そのことが生存本能の現代史の中でのあらわれです。
革命はいろいろな形で行われます。いま日本にはブルジョア民主革命が平和のうちに行われようとしていますが、それと同時に勤労者の、人民の民主革命も進行しています。ソヴェトでは数十年にわたる革命を今までに経て来ました。しかし、そういう風に革命の歴史がつみ重ねられても、ただ社会制度が変ったというだけであるならば、人間の真のよろこびはどこにあるでしょう。制度が変るきりなら、役所の官制が変った
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