実際に役立つ国民の書棚として図書館の改良
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)忸怩《じくじ》たる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四〇年十二月〕
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国民の文化生活が、個人的な方法で向上を計られて来たこれまでとちがって、これからは個々の経済力の相違に余り大きい支配をうけないやりかたで、国全体の文化の質が高められて行くようになることを皆が希望していると思う。
経済の力の相違が国民の文化生活の間に懸隔をもたらさないと同時に、男であり、女であるという偶然なことで、受け入れる文化のよろこびの範囲が大変掣肘されたり、又は文化の創造力への関心の度がちがったりしないようになることも、一つの切実な要望であろう。
日本の文化の国民的な向上と直接関係のある点では、図書館というものがもっと一般の注意を払われなければならないと思う。日常的にもっともっと利用するものとして考えられなければならないとともに、相当の専門的な研究にも実際役に立つだけに図書館の内容が整備されなければなるまい。
現在のところでは上野の帝国図
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