民主的という面をかぶってあらわれることです。
六
科学的真理という場合、当然自然科学と社会科学とが考えられます。社会科学が現代新しいファクターを加えつつ人類の社会の発展の法則をわれわれに示していることは、説明を必要としません。超階級的と思われてきた自然科学の法則が、支配階級の権力によって使用された場合、そして、その権力が侵略的であったとき、科学の真理は毒ガスとなり、爆弾となり、おそろしい殺人を行いました。地球はまわるといったガリレオ・ガリレイは、宗教裁判にかけられました。原子力の法則――科学的真理――を人類の幸福のために使うか、もっとも富める資本主義の代表者たちの特権を守るために使用するかということは、現代の人類の理性にかけられた課題です。
自然科学の真理そのものが、直ちにそのもので階級的真理ではないにしろ、科学的真理を現実の社会に活用してゆく力の階級性――それが幸福をねがい、平和をねがい、よき人生を求めている世界の働く人民であるか、それともありあまる富と権力とによってさらに強力なスリルと利潤とを、世界人類の基礎の上に一ばくちしたいと思う者によって使われるか
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