は職場と家庭生活を調和させてゆく社会施設の必要を痛感してきていると思います。N・H・Kでさえも主婦の労働と、職業上の労働とをどう調節するかということについて社会の窓で放送しました。
 女性の人間的・社会的自覚がたかまれば、仕事のない男がないように、女の仕事が家庭の中だけでおわるとは考えなくなってくるのは当然です。アメリカではいま、家庭の主婦のあいだに、ハウス・ワイフということばをなくそうという希望がおこっています。主婦の仕事は、はっきりした社会労働の一つだという考えがたかまっているわけです。ハウス・ワイフのかわりに、何か社会的勤労にふさわしいよび名がないかといって、いろいろユーモラスな案もでていました。
 現代のすべての婦人は、家庭と職業を両立させたいという根本の希望で目前の苦しみや不便に耐えながら闘っていると思います。そして、男の人たちの中にもその意味を理解して、できるかぎり「新しい夫」になろうとする頼もしい人もでています。時間のかかる問題であって、もしかするとこれは三代かかって具体的に解決されてゆくようなことかもしれません。
 しかし、わたしたちは、失望しないで、おばあさん、おかあ
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