非人間的であり、どちらもモラルをもっていない。このヒューマニティーをもたない二つの巨大な力と力との結合こそ、そして、後者の前者の支配こそこんにち人類社会に破滅的な暴力・脅迫としてあらわれている。
したがって、世界平和と原子兵器禁止の課題は、インヒューマンな資本力が科学力を支配することに対して、現代のヒューマニティーが勝利しなければならないという課題である。ヒューマニティーがより拡大して、特に人間の理性が、現実の諸現象に対してより人間生活にとって合理的な判断に立って実践し得るように、高められなければならないという課題である。文学はこれらすべてのヒューマニティーの問題にかかわっている。人間社会の多数者が自らの現実を処理してゆくヒューマニスティックな能力の問題として、文学者も政治にふれて行くように。
平和と原子兵器禁止については、アフリカの字を知らない原住民まで、指紋を署名がわりに支持している。カンタベリー僧正ヒューレッド・ジョンソン氏から、アフリカの原住民までを貫く、この平和と原爆禁止の要求こそ、現代のヒューマニティーの叫びである。文学がヒューマニティーの最も身近な表現であるということ
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