ければならない。そしてこの財産税もつまるところは、また形を変えて最も富める者から順に大衆へと返されて行く。こうして見ると、それが発表された時には、さも財閥に対する正当な良心ある統制のように思われた戦時利得税にしろ、財産税にしろ、細かく本質に触れて観察すれば、それは悉く、大衆課税としての性質を持っている。この点はラジオの解説者が力説したところであった。
物価の狂気のような昂騰につれて、昭和二十年十二月は一ヵ月に一億円の貯金引出しが行われた。人民大衆は、命に代えた労苦や、はかない僥倖によっていくらか蓄積した貯金を、今日そのような勢いで消耗しつつある。そういう人民大衆が最も直接に最も容赦なく戦時利得税にしろ、財産税にしろ支払わされる立場になっている。……しかも、その金の行方は実際的には何の課税もないと同じな大財閥、大企業家に、政府が再び形を変えて払戻してやる仕組になっているのである。財閥解体は一つの表面上の見せかけに過ぎない。なぜならば現に貿易庁というものが設置された。賠償物資、見返り物資の輸出入を司り、国内生産の要を握るこの役所に、頭として据えられたのは三井である。三井は、日本の再編成さ
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