いるのだろうと思っていた。しかし政府がしようとしていることはそうではなかった。その金で、戦時公債償却をするということである。それから軍需生産者に、補償金として支払われるということでもある。公債を私共の家庭で、どれ程持っているだろう。解説者は、大衆の中には一割位しか保有されていない公債であると言った。あとは大銀行、大企業家が保有している。その公債を償還するといえば、そのいきさつは最も単純な頭でも判断される。政府は、右の手から取った金を、同じ人間の左の手に握らせ、返してやるのだということは。……軍需生産に対する補償にしても、右の足に穿いていた下駄を、左にはきかえるというだけのことである。財産税について見れば二万円を限度としているらしいが、今日の金で二万円といえば、一円が十倍になっているとして二千円の実価に過ぎない。二千円と換算しなくても、日本の農家はこの数年間に経済事情を一変させた。二万、三万の現金を持っている農家は少くないであろう。都会の勤人にしろ、仮に今日の価格で見積れば、体一つにさえも一万円近いものは着けて歩いてもいるだろう。二万円という査定はどのようにされるか、これは重大な問題でな
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