当時の世界の経済恐慌は未曾有の失業者を地球上に溢れさせたといわれている。総数は四千五百万の失業者があった。米国は百三十万、ドイツ六百万、イギリス四百万、日本四十七万であった。日本の四十七万という数字は前古未曾有のものであるとして非常に驚かれたのであったが、昨今のいわゆる実数というものは四百三十万になっている。十倍の失業者数である。
「女子労務者の大部分は家庭に復帰するのである」と言い切っているということは、何という厚顔な責任回避であろう。おのずから、殖える人数が楽しく生きて行けるだけの衣料と食物と燃料とが湧き出して来る家庭というような、魔法の小屋は、今日、日本のどこにもあり得ない。魔法の小屋でない「家庭」へ表口から帰された女子失業群が、溢れ出した裏口は、真直、街頭につづいているのである。
新聞には強盗、追剥、怖しい記事が日毎に報告されなければならなくなって来た。復員軍人がそれらの犯罪を犯すということについて輿論が高くなって、宮内次官は「世間の眼が復員軍人に対して冷た過ぎる」と、さながら人民に現在の社会悪の責任があるかのような口振りである。けれども、静かに思いめぐらした時、これらの
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