達のある者は、故郷へ帰ったろう。或る者は、また違った職場で、若い娘らしい働きを見出したかも知れない。けれども、今日大都市が道徳的な苦痛として眺めている街の女の氾濫、その大部分が、見た眼にも全く素人である若い娘達の、生活に崩れた姿はどこから来ているのだろうか、これは決して簡単な道徳問題ではない。
 女子挺身隊は四十七万二千五百七十三人という夥しい数であった。挺身隊以外に動員された婦人労働者の数は驚くべき多数に上っていた。その人達が俄かに職場を失った。物価は高い。しかも、家庭の中心的な男子がまだ前線から帰らないか、或は復員しても今まで勤めていた軍需会社が解散していたり、新らしい職場は復員職員を消化し切れない程一ぱいになっていたりする。失業の形をとらない失業者は日本中に満ち溢れている。推定失業者の数は千三百二十四万人である。政府は「しかし復員軍人は旧職場に帰れるし、女子労働者の大部分は家庭に復帰するのであるから実際の失業者というものは四百三十万ぐらいのものである」といっている。私達はこの数字を心に留めて、さて昭和七、八年の世界恐慌の時に世界の失業者はどうであったかということを見較べて見よう。
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