時、子供はそれを尊敬する母親と思えるだろうか。子供がそれを軽蔑するのは当然といわなければならない。国家権力というものもそれと同じではないだろうか。大本営報道が総て嘘であったということは、心から私共を悲しませ、又憤らせる。その偽りの報道のために人民は自分の最も愛する者を殺された。殺されることについて沈黙を守って来た。嘘で塗り固めた権力と表面の統一のもとに国内生活は恐ろしい破綻を孕み、戦局は一刻一刻と敗退の途を辿りながら昭和二十年の夏が来たのであった。

        終って

 一九四五年(昭和二十年)八月十五日。日本は無条件降伏をもって太平洋戦争を終結した。ポツダム宣言は受諾された。そして、日本の人民は初めて、これまでの長い封建的軍事的な専制政治の本体をむき出しに自身の前に眺めた。人民が人民のために、人民の政治を行う民主化の方向に新しい出発の一歩を印することとなったのである。
 今や、私たち日本の人民は、自分たちの払った犠牲の全貌について、やっとその真実の幾部分かずつを知りはじめた。
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太平洋戦争において陸軍関係の人的損耗、四九万六千人
海軍関係人的損耗、六六万
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