ないという状態で暮して来た。食糧の計画的生産、計画的配給は日本では手後れに計画されて、しかも各生産部門における能率低下の原因と反比例する増産の必要に追立てられた。男手を失った農村の婦人達が、割当だけの供出量を生産して軍需を充たし、なお自分のところへ幾らかの余剰を残すためには、肥料のない、馬のいなくなった、男のなくなった田畑の上で、骨が軋むばかりの辛苦を凌いで働きつづけて来たのであった。婦人達が燃料の欠乏、シャボンその他の洗剤の欠乏、繊維が悪くなって洗えもしないスフの製品が殖えたことなどで、毎日の婦人の仕事が一層困難になって来たと同じ時に、農村の婦人達が田圃で働く木綿着物がなくなった。手拭は足りなくなって来た。肥料・農具も足りない状態になって来た。実際生産用具はそのように欠乏に欠乏を重ねて来るのに、増産の必要は昂まるし、一方には正規の増産とその配給とを攪乱するような農業会、統制会、闇売買が横行して、農村では近年の一つの病的な社会現象として、物がないのに金はあるという状態になって来た。曾て日本の農村は一戸当り数百円の借金を持っているということが統計に言われて、農民の負債はいつも大きい社会問
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