ないという努力がされておりますが、その国の天然資源の豊富さ、土地の大きさ、人口の多さ、今までもっていたその国の社会の歴史のいろいろな必然的な動きから、たとえばソヴェト・ロシヤのようなところには社会主義的な民主主義が発達しているわけです。社会主義の民主国というのはどういうことかといいますと、今の一番根本の経済問題を解決しております。みなが五時間働けばすむだけの生産能力があるならば、五時間だけ働いて五時間で暮せる賃金をはらって、あとの五時間、或は二十四時間のうちの残りの十九時間というものは、みなの社会活動のために、本の勉強のために、医学の勉強のために、工場で働いているものも技術家になることができるように、小説家になることができるように、或は女の人ならばいつか自分が希望しているような音楽家になることができるように、人間らしくすべての希望を貫いて社会の活動と生産の働きと結びつけてやってゆこうという社会もできているわけです。
 そこでその三つの社会をひとりの女の人の上にあてはめてみると面白いのです。たとえば半分封建的な今の日本のような状態ですと、家庭のいろいろな負担というものは女がみな自分の体で
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