しょう。
 日本共産党は、先ず身をもって自分から河へふみこんで来ているこの男のように、誠実で、献身的な政党だと思います。
 日本を今日の破滅におとしいれた何よりの原因は、戦争です。今になって、これを知らないものはありません。この戦争が、日本の全国民を不幸にし、経済を破壊し、飢えさせるものであることを、はっきり見とおして、十何年も前、そもそも戦争のはじまりから、この戦争に反対し、戦争をもたらす日本の天皇制の政治のやりかたに反対して来た政党は、日本共産党だけでした。今日、平和日本の建設または民主日本の誕生などといっている政党のほとんど全部は、戦時中の議会で、すべての軍事費に賛成して来た人々の集りです。
 真心から婦人の幸福を思い、差別ある待遇を改善しようとして、あらゆる場面で、ともども闘って来た日本共産党が、人間味のない党であると、どうして思えるでしょう。たとえ、イワシにしろ、今日、現実に、私たちの食膳へ配給されるようになった食糧の人民管理の方法は、共産党が生活問題解決の一歩として、既に実行で示している一つの例です。
 共産党という名がきらいだわ、という婦人もどっさりあります。ほかの意見に
前へ 次へ
全7ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング