、人は平等なり、で、たいそう進歩的にみえますけれども、まだまだ、あの憲法は、いたって不充分なものだということがわかります。ですから、もっと研究して、私たちの本当の代表者を議会に送り、もっとよく、もっと具体的な、実際の効力のある憲法につくりあげなければならないのであります。

 私は作家であるのに、政治の話をするのは、なんとなく変だとお思いになるかもしれませんが、作家だからといっても、政治は政治家のことだといって、傍観出来ません。みなさん方も、それぞれ専門をもっておられることでしょうが、配給の魚と、野菜と、お米が少くなっても、私の専門ではないからといって眼をそむけていらっしゃる方は一人もないはずです。
 私は作家でありますから、例えば紙の問題などは、実に痛切であります。私たちが本を作るということは、出来るだけ廉く、ためになる本を、美しいものにして、作りたいという念願をもって作るわけでありますが、今日、その紙はどういうふうになっているかというと、みんな配給になっております。けれども、ずいぶん紙を買溜めしておった人があるのです。最近巷にたくさん本が出ておりますが、一体そういう本屋は、どういう
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