緒に生きてゆくものなのです。ですから、憲法というものは、私たちの今日の、日常生活と照し合せて、私たちはそれを充分に理解し、それを日常化し、そこから、人間が生きて行くものとして、考えなければなりません。
 社会は人間が作ったもので、生きるためにあるものであります。人間が生きて行くのに、公平であることを――社会解放を願うのは人間の権利です。そうした見方から、あの憲法草案を見ますと、いままでの日本の憲法というものは御承知の通り、まことに不出来なものでありまして、あれは憲法ではない、ある一つの文章です。それで、はじめてこんど、憲法らしい形で、憲法が出来たわけでありますが、人は総て平等なり、国民は働く権利をもっている、などといわれております。
 人は平等なり、と申しますが、そのときに、みなさんは、きっとお思いになるでしょう。この頃いろいろなことで、女子が出ても、選挙の問題や婦人の問題ばかりでなく、刑法・民法のように、まだまだ差別のあることを御承知でしょうし、婦人は公民権をもっておりませんし、代議士になって、いろいろよい施策をやるとしても、いろいろな役割をするにしても、地方の町で実際に行って実現す
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