を宗教問題から社会運動にきりかえて、労資協調を主張しはじめてからのことである。ブックマン博士は、一九三九年には失敗した。アメリカに上陸するなり彼は、「わたしはヒットラーのような男に感謝する」とか「神の支配するファシスト独裁に賛成だ」などと話して、当時ナチス・ドイツのファシズムに反対だったアメリカの輿論からはじき出された。けれどもこんにちでは事情がちがっている。共産主義の敵でさえあれば、それが何であろうと歓迎せずにいられなくなっている人々にとって、MRAは国際的な反民主勢力の「教団」となった。ルール地方の有力者、シューマン仏外相、国民党右翼の暗殺団C・C団の指導者陳立夫などの熱烈な支持をうけている。ブックマン博士の「新世界創造の闘争綱領」というものには、「民主主義のためのイデオロギー」として「霊感的民主主義」を必要として「かつて軍隊が闘い得ず、政治家が思いも及ばざるイデオロギーの高度武装をせよ」と宣言している。(ニュー・ウヮールド・ニュース。MRA機関紙)そしてこの道徳高度武装内容をシューマン外相は、はっきり「経済分野にはマーシャル・プラン、政治・軍事の分野には北大西洋条約、この上に精神生活の基礎を与える」ようにといっている。(毎日六・六)
 独占資本の機構が、時々刻々にひき出す尨大な金貨の山におしあげられながら、自分をファシストだと認めない国際ファシストたちは、MRAのために資金を出し惜しまない。MRAの去年の大会には、二百人の代表が各国から招待されたばかりでなく、五十二万八千ドルでロンドンのウェストミンスター劇場を買った。景色のいいスイスのジェネヴァ湖畔にあるパレス・ホテルは、七百室の大ホテルであるが、MRAは二十五万ドルでこれを買った。ロサンジェルスの本部を買うために五十万ドル投げ出したし、ミシガン州のマキナック島には、訓練所を維持している。MRA映画「グッド・ロード」を製作する費用も少くないであろう。世界にこんなに資金豊富な団体がほかにあるだろうか。これだけの経費をまかないながら、MRAの会員が会費を払ったという話はきいたことがない。
 世界の疑惑の眼がMRAに集りはじめている。去年第一回のMRAの大会には、アメリカの名士が大勢出席したが、本年のコーの大会にはアメリカの上院、下院あわせて六名の議員しか出席しなかった。ブックマン博士がナチスのヒムラーやヘスと特別
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