ょう。民法が改正され、結婚の自由、離婚の自由が認められようとしていますが、現実の社会に、母と子の生存を守るしっかりした施設が一つもなければ、真面目な意味での結婚にも、さけがたい理由をもった正当な離婚にも、自由ということはなりたちません。子供の生活を本当にとりあげ、それをもりたててゆく社会施設の実現を問題にしない結婚や離婚の自由は、その自由がめざしているような人間らしい立派さをこの世にふやすものでないことは、わかりきっているのです。
 ことしは、すべての主婦が、自分にむかって、もうこうしてばかりはいられない、という年だと思います。うちのことで精いっぱいだからこそ、その気をちょっと持ち変えて、一歩ふみ出し、気をひきたてて、何か一つ身近な改善にとりかかり、主婦のはりつめた心に、希望の窓をきりひらく年だと思います。[#地付き]〔一九四八年一月〕



底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年5月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
   1952(昭和27)年1月発行
初出:NHKラジオ
   1948(昭和23)年1月12日放送
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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