今度の選挙と婦人
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四七年三月〕
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          一

 一年目で、また総選挙がはじまります。去年の三月登場した婦人代議士三十九名の活動も、この一年間には私達の目に、ある程度までその現実を知らされました。これらの大勢の婦人代議士の中で、日本の民主化と人民生活の向上、そのことからもたらされる婦人の社会生活の改善のために、次回も当選してほしいと希望される人は何人あるでしょう。
 一年間の最も雄弁な教訓は、これ等の婦人代議士が女は女の生活をよく知っているということを、選挙演説の中心においてたたかい、婦人有権者も女は女へと思って、そこに希望をかけて投票したことが、まったく無意味であったということです。
 婦人代議士は、実際問題としてこの一年間に婦人のために何をしたでしょう。憲法改正は現吉田内閣の宿題の一つでした。吉田内閣がいくらかでも、民主的な要素の加わった憲法を制定して、自分達の政治の方向が民主的であるかのようにポーズすること、これは保守的な内閣に
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