われる問題は決して抽象的な問題とはいわれません。この台所一つがたとえ民法がどう改正されようとも婦人を解放することのできない現実の封建性となって全日本の婦人の生活にかかっています。婦人代議士がいうように耐乏生活でこの歴史の逆転はくつがえせません。燃料がたっぷりあるように、ガスと電気が使えるように、食糧事情がよくなるように、社会のしくみが動かされなければ、現実の婦人の封建性の条件がなくなりません。民法が戸主の権利を縮小したからといって住宅難で若夫婦が父兄の家の一隅を借りていなければならないとき、資本主義社会で育ってきた人々の心持の中は、金銭問題や、義理がからんで、実際の封建的な家長の気分はのけられません。住宅問題は、政府の空手形の標本です。
日本の民主化と婦人の社会的地位の向上、封建的な重さからの解放は現実生活の一つ一つを実際に解決してゆける基本的方針をもった民主的政権がたてられなければ実現しません。このことは日本人民が自分達の一生の運命を左右する問題として本気で考えるべきです。政党のすききらいの場合ではなくなってきています。生きるために、いかす力をもった政党を支持しなければならず、日本
前へ
次へ
全8ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング