の上に立った文化を建設して行くためには、その基礎となる生産関係の解決問題と共に、進歩的なインテリゲンチアの協力がいかに必要であるかということをよく示している。資本主義の必然的な矛盾はインテリゲンチアをも経済的に窮乏におとし入れ、その広い部分が労働者化の過程をたどっているし、同時に、古い文化の涸渇《こかつ》と腐敗を見透し、自身の生存のためにも新しい生活と文化との建設の必要をますます自身の問題として感じるようになって来ている。インテリゲンチアの労働者の側への移行は、プロレタリア文化建設の可能性とともに世界的な動かすことのできない事実であり、必然の勢であるにもかかわらず、昨今の文化政策は非常に巧妙な手段でインテリゲンチアをふくむ小ブルジョア層にますます小ブルジョアの無気力を助長するような自嘲、自己嫌悪を吹きこみ、労働者の側からはその現象をさながら動かすことのできないインテリゲンチアの特性であるかのように愚弄するような社会的空気がかもされている。転向の問題などもその一つの現れであろう。
一方から見ると、誠に当を得たように思われる文化政策(たとえば学生がカフェー、ダンス場に出入することを禁じる
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