ワり重すぎた半封建的社会の力にむしばまれて、旦那の気むずかしさに定着してしまった悲劇がみられる。ジャーナリズムが途方にくれたようなこの時期を貫いて、日本には民主主義文学運動の強い流れと、それに並行して日本の重くるしい封建の伝統に対して闘おうとする文学の潮流があらわれた。
 民主主義文学運動の中心は、新日本文学会であり、機関誌『新日本文学』のほかに四つの文学的刊行物を出している。新日本文学会は日本現代文学の進歩的な卓越した作家を少からずその会員としている。評論家として蔵原惟人そのほか活溌な数人の活動家・作家としての中野重治・徳永直・佐多稲子・宮本百合子・豊島与志雄、詩人では壺井繁治・岡本潤、その他戦後に活動しはじめた若い作家、評論家、詩人の多数がある。一九四七年度の注目すべき民主的作品のほとんど全部は、この会のメムバーである作家・評論家・詩人たちによって生れた。新日本文学会は、専門家のために多方面な研究会をもっているほかに、一年に数度文芸講演会を開き、地方の支部を中心に文学巡回講演も行っている。演劇、音楽のグループなどと共に勤労者の間に、文学のグループもどっさり出来ている。この文学グルー
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